■医薬分業
医薬分業の進展に伴い、患者の意識が変わってきている。『ここ の薬局で薬を出してもらうと安心だ』と言ってもらえるような薬局にならないと。株式会社メディカルグリーン社長の大沢光司氏。今までは、「近い薬局」が選択の第一条件だった患者の意識が「薬をきちんと説明してくれる薬局」へと変化しつつある。実際、大沢調剤薬局では、他の薬局や医療機関でもらった薬を持参する患者が少なくない。 患者の目が厳しくなってきている今、薬局として患者に選ばれるサービスを提供しなければならない。そのためには「スタッフ一人ひとりに意識してもらう必要があります」と大沢社長。そのための様々な方策を打ち出している。
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■正確な調剤
正確な調剤も大事なサービスの一つ 心地よいサービスを目指し、他業界のサービスを参考にする一方で、同薬局では医療職としてのサービスにも力を入れている。薬局であるからには、やはり正確な調剤が一番のサービスだ。そのため、2001年3月からインシデントレポートの作成を始め、薬局内で自己監査を通り抜けてしまった調剤エラーをすべてレポートに残すようにしているのだ。「エラーが起きやすいということがわかっていれば、注意することもできます。そのためには、統計が必要です」(大沢氏)。 レポートの内容は日本薬剤師会のフォーマットに沿って、エラーの発生日時、発見時点、発見者、内容、原因、被害、概要や改善策などを記載するようになっている。「すべてを記録しようと思うと大変な
ので、とりあえずは内容や原因を必ず記載して残してもらうようにしました」。 2ヶ月間集計をしたところ、最もエラーが発生しやすい時間帯や、最も多いエラーの種類などの結果が得られた。それら統計を検討し、具体的な対策を薬局内において徹底することによって4割程度のエラーが削減できたという。
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■他業界のマニュアル
他業界のマニュアルを質向上に生かす方法 栃木県栃木市近隣で8店舗の調剤薬局を経営する大沢調剤薬局では、一流ホテルのクレーム対応術を活用し、サービスの質を高めている。 薬局もサービス業として、もっと上質なサービスを提供していかなければならない、と感じていた大沢氏は、一流ホテルの心地良いサービスが薬局でも導入できないものかと思い、まずはクレーム対応術を活用することから始めたそうだ。「一番参考になったのは、どんなにお客様が悪くても『不愉快な思いをさせたのはホテルの責任』という意識をもって対応する精神です」と大沢氏。 薬局に当てはめて考えれば、例えば、「帰宅して薬を見たら足りないようだ」という電話が患者さんから入った時、まずは「カバンの中や車の中にはありませんか?」と、確認を促す。同薬局では、最終鑑査で患者さんと一緒に薬の確認を行っているため、薬が足りないという場合、薬袋から滑り落ちていることがほとんどだ。「そこで薬が見つかっても、『やっぱり落ちていたでしょ』と思ってしまってはダメなのです。それでは患者さんが悪いと受け止めている自己の気づきがないので、また同じことを繰り返してしまいます。『落ちてるような入れ方をした私たちが悪い』と思って心から謝ることができれば、次に落ちるような入れ方はしません。それがサービスの向上につながってくるわけです」と、例え話を交えて、サービスの質向上がスタッフの気づきにあることを力説する。要するに、「患者さんが悪いわけではなく、迷惑をかけたのは私たちだ」という芽ばえがなければ、サービスの質を高めることができないというわけだ。 同薬局ではマニュアルをスタッフ全員に配布するだけでなく、社員旅行で、ザ・リッツ・カールトンに滞在し、みんなで一流ホテルのサービスを体感してきたそうだ。「マニュアルだけでは身につきません。実際に足を運び、身をもって体験して感じることが大切です」。体験することで、気持ちの入り方が大きく変わってくると,その効果を話す。
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■インシデントレポート
インシデントレポートは薬局の財産 インシデントレポートを分析し、エラーが起きやすい場面を具体的に提示することによって、エラーの削減には大きな成果を上げられる。とはいえ、インシデントレポートを集めるには、そう容易ではない。集めようとしたけれど、結局、失敗に終わった薬局も多くある。 大沢調剤薬局では、まず、インシデントレポートの重要性をスタッフ会議で説明した。その際にポイントになるのはなるべく身近な例を挙げることと大沢氏は指摘している。例えば、近隣の事故が多く起こる交差点を例に出し、最近、事故が減ったのは、そこが事故多発地帯であることを多くの人が認識し、気をつけるようになったからだ、と説明するわけだ。その交差点をほとんどのスタッフが知っており、「確かにあそこを通る時は、自分も気をつけている」と話が進み、インシデントレポートの重要性を浸透させることに成功したことは言うまでもない。 レポートを無記名にすることも、継続させるポイントの一つだ。「書かれているケースについて、本人を問いただしたり、責めてはいけません。それをやると誰も書かなくなります」(大沢氏)。もしエラーが起こっても、「それは大沢調剤薬局のシステムが整備されていないことが原因です。システムを改善していくために、どういう場面で事故が起こるのかをぜひ教えて欲しい」と伝えるそうだ。さらに、インシデントレポートを継続的に提出させるためには、常にスタッフに声をかけて提出を促していかなければならないとも言う。 「患者さんからのクレームやインシデントレポートは、薬局の財産です。薬局を変えていくチャンスになるわけですから」と大沢氏。日々の患者さんの「声」やレポートが薬局のサービスの質を向上させ、患者さん満足度を高めることになると語っている。
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