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TOP > 雑誌「Pharma Next」に掲載された内容です。一読お願い致します。

「Pharma Next」

企業リポートで取り上げられた記事です

部下の潜在能力を引き出し、自主的な取り組みを促す。新時代のマネジメントとして多くの一般企業で注目されているコーチング。このコーチングの接し方を患者との会話に取り入れ、「服薬指導」から「服薬コミュニケーション」への転換を目指し実践してきたのが栃木市の大沢調剤薬局だ。

<コーチングとは>

 コーチングの3大原則は「@100%クライアントの味方になること A答えはクライアントの中にある Bその答えを効果的な質問をすることで引き出すこと」(大沢調剤薬局)。同社の大沢光司代表取締役副社長は2年前、このコーチングの考え方に着目した。プロによるコーチングを大沢氏自身が1年間にわたって受けてみて、コーチングは服薬指導と共通する点があると確信。以来、栃木市内の薬局全5店で取り入れてきた。

 本来のコーチングは通常30分〜1時間、コーチとクライアントの1対1で行う。ビジネスコーチングの場合、仕事上の悩みや目標について、プライベートコーチングだと人間関係について、コーチがクライアントに聞いていくかたちで進める。コーチングのセッションは週1回くらいのペースで定期的に行っていく。この「定期的に行う」という点が「服薬指導」に応用できると考えた点だ、と大沢氏。

患者のタイプ分けで
会話もスムーズに

 大沢氏によると、慢性疾患の患者は、例えば、内科の場合だと定期的に薬局に通うのは約8割にものぼる。こうした慢性疾患との対話にも、コーチングの手法を用いれば処方箋せん内容の変更がないからといって対話に困るということもない。

 例えば、「薬がきちんと飲めない」、「血圧がなかなか下がらない」などの悩みを薬剤師が聞きだし、患者に次回までの目標を立てさせ、実行できた場合はそれをほめ、できなかった場合はその理由を一緒に考えていくといった、コーチング的コミュニケーションを継続させる。

 そのためにもまず、聞き取りが重要になってくるわけだが、ただ単に全員に一定の質問をぶつければよいというわけではない。コーチングでは人間を4つのタイプに分けている。「プロモーター」「サポーター」「アナライザー」「コントローター」の4タイプだ。

<コントローラータイプ>
決断が早くコントロールすることに安心感をもつタイプ。
反対にコントロールされることを嫌う。
(質問されることさえも嫌う)

<プロモータータイプ>
感情、考えを自由に表出できるタイプ
開放的でポジティブ
ただし飽きっぽく、一つの事を達成したり、持続することが苦手。

<アナライザータイプ>
慎重、論理的でたくさんの情報を検討して結論を出すタイプ

<サポータータイプ>
自己主張よりは周りに気を使う。
人の輪を大切にする。
慎重で落ち着きがあるタイプ(遠慮がち)

プロモーターは感情、考えを自由に表出できるタイプで、開放的でポジティブ。ただし飽きっぽいため、一つのことを達成したり、維持することが苦手だ。サポーターは周りにきを使うタイプで、慎重で、落ち着きがあり、遠慮がち。アナライザーは慎重、論理的でたくさんの情報を検討して結論を出すタイプ。コントローラーは決断が早く、コントロールすることに安心感をもち、逆にコントロールされることを嫌う。

 例えば、患者がプロモーターの場合だと、薬剤師が「最近どうですか」というように漠然とした質問をしてもどんどん答えてくれるが、この対極にあるアナライザーに対しては「今日の血圧はいかがですか」というように細かく質問をしないと答えが得られにくい。なかでもコントローラーは最も難しいとされ、人にコントロールされることを嫌うので、「お聞きしてもよろしいですか」という「承認」を得ることでスムーズにいく傾向がある。患者として接していく上でどうしても上手くいかない場合、このタイプ別の接し方が分かっていれば、コミュニケーションの手がかりになる。なお患者のタイプ分けは全薬剤師が共用できるよう、薬歴に記号で記入している。

 同社が月に1回行っている研修では、あいさつの仕方や自己紹介による第一印象がその後の信頼関係に与える重要さや、視線の高さを合わせたり、「○○について、お聞きしてもよろしいでしょうか」といった「スタンス確認」について、相手の話す速さや声の大きさなどに同調する「ペーシング」の方法などを総合的に学んできた。その上で、患者のタイプに応じた対応のコツと注意点を把握したことで、コミュニケーションがとてもスムーズにいくようになった、と大沢氏。

POSとの組み合わせで相乗効果

 同社では4年ほど前からPOSの考え方を取り入れており、患者志向という点では基礎ができていたわけだが、SOAPで言えば患者の主観である「s」の部分が聞き取りきれない、といったスタッフの悩みがあった。これもコーチング手法を取り入れてから解決されたと感じているという。以前に比べて患者と話す時間が増えた、患者の表情が明るくなったということからも効果を実感している。
 この「服薬コミュニケーション」に関して外部からの問い合せも多く、大沢氏は栃木県薬剤師会、その他の団体の勉強会で講演を行っている。今後もこの服薬コミュニケーションのみならず、薬剤師のスキルアップ全般に関して貪欲に取り組んでいく姿勢だ。